だにぃのメモ帳

専門知識皆無の一般人が、使ってみたもの、気に入ったもの

「未開の議場」を観た

「「未開の議場」-オンライン版-」 を観ました。

カムヰヤッセンという劇団が2014年に初演した舞台演劇作品を、今回ビデオ会議ツール「zoom」を使ってオンライン版としてリメイクし、YouTube上でストリーミング公開したもの。

(プロジェクトのHP↓)

mikaionline.jimdofree.com

 

リアルタイムでは観れませんでしたが(存在に気づいたのが終わってからだった)、アーカイブを翌日に。

 

地域イベントの計画をしている商店街青年部のオンライン会議、という設定で、

12人の怒れる男」(レジナルド・ローズ)→「12人の優しい日本人」(三谷幸喜)→「七人の部長」(越智優)*1など、「有罪か無罪か」「賛成か反対か」の多数決投票の行方を縦軸にした会議劇の系譜に連なる作品です。

時代性に富むウェルメイドな脚本と安定感のある役者さんの演技を純粋に楽しめたし、生の舞台を観るのとは当然身体的な距離感がまったく違うのですが、不思議と同じような緊張感、というか、生々しさ(気まずいシーンでは、実際に肌感覚で気まずいあの感じ)を感じることができてよかったです。

それは多分、出演者の間にも身体的な距離が観客と等しく存在していていて、オンラインという同じレベルの密度を役者と観客が共有していたからではないかと思います。

「zoom」自体が、これまでのLINE・Skype・Whatsappなど「電話」の延長線上にある通信手段とは違う、「場」を提供するという新しい概念を持つ非常に興味深いシステムだと思うんですが、その特質がよく活かされた企画でした。

 

あと個人的に面白かったのが、開演30分前からの「客入れ」の時間。

これが実は擬似演劇体験感を強める重要な要素だったんじゃないかな、と感じました。

センスがいいなぁ。こういうの考えるのすごく楽しかっただろうなぁ。

YouTubeの関連動画の欄を見ると、似たような企画の「演劇」が既にたくさん出てきてるので、この形はコロナ時代の演劇界で一つのフォーマットになっていくような気がします。

アーカイブは5月20日まで公開されているそうなので、演劇好きで、外出自粛生活で時間があるよ、という人は是非 ↓

https://www.youtube.com/watch?v=b2cvo-T1QDY

*1:高校演劇の超有名な作品です。一般にどれくらいの認知度があるのかわかりませんが、筆者は高校演劇経験者なので、『優しい日本人』の後継といえばこれ、という認識